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穿く・履く ― ステテコはどっち?

日本の漢字には「暖かい・温かい」や「速い・早い」など、どっちがどっちか、正しい使い方か分からなくなることがありますよね。「細かいことを言いなさんな……」と思う一方、間違いを指摘されたときは少し恥ずかしい気持ちになります。


おそらくラーメン屋さんや気象予報士は「あたたかい」の漢字を間違わないはずですし、F1レーサーや野菜農家さんも「はやい」を間違わないはず。


ではステテコドットコムにとってはどうかと言いますと、やはりそのような漢字があります。


「穿く」と「履く」です。


ズボンタイプのステテコにとって重要な漢字であり、もしも間違えて使っていたら、全国のステテコ関係者とレジェンドたちに会わせる顔がありません。「穿」と「履」は絶対に間違えられない漢字なのです。


さて答えを先に述べてしまえば、正しいのは「穿く」の方です。ではなぜ「履く」ではなく、あいまいになってしまっているのか。今回はその理由をしっかり調べてみることにしました。ポイントは下の2つです。

穿くと履く
穿くと履く

意味が違う

読み方は同じ「はく」ですが、「穿」と「履」の漢字にはそれぞれに違った意味が含まれています。


まず「穿」の方は「穴かんむり」に「牙」という成り立ちから、牙で穴を掘るという意味です。よって穴が空いた筒状のズボンやスカートなどに、牙に見立てた脚を通すイメージで「穿く」と書きます。


一方の「履」はやや複雑な構成をしていますが、意味としては「足を置いて踏む」ということを表しています。ですので、シューズの底を踏むようにして身につける靴は「履く」となるわけです。


常用漢字かどうか

約1万もあると言われる漢字の使い方をみんなで共有して、情報化社会でのコミュニケーションをスムーズにしましょう、という目安として、文化庁によって選ばれた約2,000の漢字が「常用漢字」です。私たちに身近なところとしては、小・中学校での義務教育で習う漢字がそうであったり、新聞各社が漢字を使うかどうかの目安にしています。これはきっと誰もが読めるだろう/もしかしたら読めないかもしれない、と判断するための目安ということですね。


「履」はその常用漢字に入っているので、私たちも日常生活でよく見かけるですが、「穿」は入っておらず(表外漢字)、新聞社によっては「はく」と仮名書きとなっていたりします。


このように、ステテコは意味の成り立ちから言えば「穿く」と書くのが正しいのですが、常用漢字ではないために認知が広まらず「履く」とあいまいな状況があるというわけでした。